社会保険におけるパートタイマーと短時間労働者の違いについて

一般的に短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所で働く通常の労働者(≒正社員)と比べて短い労働者のことで、主にパートタイマーやアルバイトを指します。パートタイマーとアルバイトについて、特に違いはないと考える方も多く、両者は法律上は特に区別されていませんので、厚生年金保険や健康保険などの適用に関して、どちらも同じ要件を満たせば加入の対象となります。

➡ただし、厚生年金保険や健康保険における「被保険者区分」について、「パートタイマー」「短時間労働者」ではその要件が異なるため、明確に区別する必要があります。この「被保険者区分」によって、標準報酬月額(※)の決定や改定の際、報酬支払基礎日数の取扱いも違ってきます。今回は社会保険における「パートタイマー」と「短時間労働者」との違いについて解説していきます。
(※)標準報酬月額とは、毎月の給与から控除する社会保険料や厚生年金保険の年金額等などを計算する際、基礎となる額をいいます。

パートタイマー(短時間就労者)とは

(1)パートタイマー(短時間就労者)とは
➡パートタイマーとは1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所で働く通常の労働者(≒正社員)と比較して4分の3以上である被保険者のことをいいます。厚生年金保険・健康保険の適用事業所で働いている場合、この4分の3基準を満たせば社会保険へ加入する必要があります。

短時間労働者とは

(1)短時間労働者とは
➡短時間労働者とは1週間の所定労働時間が同じ事業所で働く通常の労働者(≒正社員)の4分の3未満1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満、またはその両方に該当する場合で、以下の要件をすべて満たす労働者のことをいいます。

① 週の所定労働時間が20時間以上あること
2か月を超えて継続して雇用されることが見込まれること
③ 賃金の月額(残業手当、通勤手当、ボーナス等は含めず)が88,000円以上であること
学生(夜間、通信、定時制を除く)でないこと
特定適用事業所(任意特定適用事業所を含みます)または国・地方公共団体に属する事業所で勤務していること

(2)特定適用事業所と任意特定適用事業所について

① 特定適用事業所とは
特定適用事業所とは、厚生年金保険の被保険者数が常時100人を超える(101人以上)の事業所のことをいいます。具体的には、同一の事業主(法人の場合は法人番号が同一の事業主)の各適用事業所における社会保険の被保険者数(短時間労働者を除き共済組合員を含みます)の合計が、1年のうち6か月以上100人を超えることが見込まれる企業に属する事業所をいいます。

② 任意特定適用事業所とは
任意特定適用事業所とは、厚生年金保険の被保険者数が100人以下の企業に属する事業所で、かつ任意特定適用事業所の申出をすることについて、労使間で合意した事業所をいいます。任意特定適用事業所に勤務しており、かつ上記(1)の①~④の要件を満たす短時間労働者は社会保険に加入することになります。

➡厚生年金保険、健康保険における被保険者の適用関係や、標準報酬月額の決定や改定の際の被保険者区分についての正しい理解のため、パートタイマー(短時間就労者)と短時間労働者との相違点はしっかりと押さえておく必要があります。この機会に再確認しましょう!

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