外国人雇用に関しまして、採用内定から入社までの大まかなながれを教えてほしいというお問い合わせを多くいただきます。今回は、① 在留中の留学生や既卒の転職者を採用する場合、② 在外の外国人を採用(招聘)する場合とに分けて大まかなフローを解説していきたいと思います。

在留中の留学生や既卒の転職者を採用する場合

・就労ビザ申請の準備から、審査結果が出るまでは通常1~3か月程度かかります。雇用主の事業内容や事業規模、その他の諸事情によってかかる期間は変動します。

「就労ビザ」とは正式な法律用語ではありません。外国人が日本国内で働くために取得する必要のある在留資格の慣用表現として「就労ビザ」と一般的に呼ばれているため、当サイトでも慣用表現として使用しています。また、以下のフローでは、在留資格:技能実習1号~3号、特定技能1号該当者を除きます。

在留資格の確認

・採用する外国人と、業務の具体的内容が決まり次第、現在の在留資格確認のため、在留カードの提示を求めます。
※出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)において、外国人を採用する場合、在留資格の確認義務が課せられています。

a)留学生を新卒で採用する場合、または既卒で現在就職活動中のため、特定活動ビザ(就職活動を行うための特例ビザ)で日本に在留している外国人を新規採用する場合、留学や特定活動の在留資格から就労可能な18種類(技能実習を除く)のいずれかの在留資格へ在留資格変更許可申請を行う必要があります。
b)外国人を中途採用する場合、入社後の業務内容が、現在保持する在留資格では従事できない業務内容である場合、入社後に従事する業務内容に対応する在留資格に変更するため、在留資格変更許可申請を行う必要があります。

・上記a)、b)のいずれの場合も、在留資格変更の許可後でなければ就業を開始することはできません。

雇用契約書の交付

・入社後の労働条件について、採用する外国人と直接話し合いを行ったうえで雇用契約を結びます。労働条件通知書交付は労働基準法上、使用者に課せられた義務になります。後々の労使トラブル回避のためにも、書面による雇用契約を結びましょう。

雇用契約書に関しては、日本語で作成された雇用契約書と外国人の母国語、または英語などの標準的言語による翻訳文を作成し、両方を外国人本人に交付することが必要になります。

就労ビザの申請

・実際に就労ビザ申請を行う際には下記内容に留意する必要があります。

a)日本に留学している外国人を新卒で採用する場合 留学生の在留資格である「留学」から、入社後の業務・仕事内容に対応する就労可能な在留資格に変更するため、在留資格変更許可申請を行います。
b)日本に在留中の外国人を中途採用する場合
※転職前と別の職種で採用する場合
現在の在留資格から、入社後の業務・仕事内容に該当する新しい在留資格へ変更するため、在留資格変更許可申請を行います。
c)日本に在留中の外国人を中途採用する場合
※転職前と同一職種で採用する場合
b) のケースとは異なり、転職前の在留資格と、入社後の業務・仕事内容が同一であるため、基本的には入管法に基づく手続きは必要ありません。入社する外国人が今後在留期間更新許可申請を行う際に、転職先企業に関する関係書類を提出すればよいとされています。
※ただし、法務省では、転職先での在留活動内容が合法であるかどうかを確認するため、就労資格証明書交付申請を行うように推奨しています。

受入準備

・就労ビザ取得が完了し、外国人の就業開始が可能となりましたら、必要に応じて入社後の受入準備を進めます。特にご質問が多い、住居・銀行口座・携帯電話等の契約について下記にまとめました。

a)住宅の契約 ・外国人従業員の住居の手配は、受入企業のサポートが必要になることが多いのが現状です。国土交通省から「部屋探しのガイドブック(日本で部屋探しをする外国人の方へ)が公開されています。
※参考:国土交通省「部屋探しのガイドブック(日本で部屋探しをする外国人の方へ)
b)銀行口座の開設 ・就労ビザは滞在期間が6カ月以上あるため、銀行口座を開設できます。口座開設の際に必ず準備が必要なもの、帰国時の注意点など、金融庁がガイドラインをまとめています。
※参考:金融庁「外国人の預貯金口座・送金利用について
c)携帯電話の契約 3カ月以上日本に滞在する外国人従業員であれば、日本人と同じように携帯会社各社との契約が可能になります。携帯電話契約に際し必ず準備が必要なもの、本人確認方法などについて、総務省がガイドラインをまとめています。
※参考:総務省「外国人の携帯電話契約・利用の円滑化に向けた取組

入社後の手続き

・外国人の入社時、入社後に必要となる手続きとして代表的なものは以下の通りになります。

a) 中長期在留者の受入れに関する届出
(➡地方出入国在留管理官署)
・外国人を雇用する企業は、中長期在留者の受入れを開始した日から14日以内に「中長期在留者の受入れに関する届出」を最寄りの地方出入国在留管理官署に提出する必要があります。
※ただし、外国人雇用状況の届出を公共職業安定所に届出済みの場合は不要になります。
b)外国人雇用状況の届出
(➡公共職業安定所)
・外国人を雇用する事業主には、外国人労働者の雇入れおよび離職の際にその氏名、在留資格などについて公共職業安定所へ届け出ることが義務づけられています。
1.雇用保険の被保険者となる外国人について届け出る場合:外国人を雇用した日の属する月の翌月10日までに届出
2.雇用保険の被保険者とならない外国人について届け出る場合:外国人を雇用した日の属する月の翌月末日までに届出
c)雇用保険被保険者資格取得届
(➡公共職業安定所)
・適用要件に該当する外国人労働者を雇用した事業主は、雇用した日の属する月の翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届を所轄公共職業安定所に提出する必要があります。
d)健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
(➡日本年金機構)
・適用要件に該当する外国人労働者を雇用した事業主は、加入義務の事実が発生してから5日以内に、当該従業員の健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を提出する必要があります。
e)活動機関に関する届出(出入国在留管理庁)に関する指導 ・外国人労働者が、前勤務先を退職し、新しい勤務先に転職したことを、外国人本人が出入国在留管理局に届け出る必要があるため、事業主は、外国人労働者が当該届出を行っているかの確認、または行うよう指導する必要があります。
f) 就労資格証明書の交付申請
(➡出入国在留管理庁)
※転職前の職種と転職後の職種が同一である場合
・転職(転職前の職種と転職後の職種が同一である場合に限る)の場合、必要に応じて、外国人本人と事業主が協力して、就労資格証明書の交付申請を行います。

② 在外の外国人を採用(招聘)する場合

・在外の外国人を採用(招聘)する場合は、在留資格認定証明書交付申請を行うことになりますが、その結果通知の期間には幅があり、通常1~3か月程度かかります。雇用主の事業内容や事業規模、その他の諸事情によってかかる期間は変動します。
※以下のフローでは、在留資格:技能実習1号~3号、特定技能1号該当者を除きます。

就労ビザ取得可否の可能性の確認

・採用しようとする外国人が決定したのち、その外国人が担当することとなる業務や職務内容と、外国人本人の学歴や職歴が、就労ビザを取得できる要件に該当するかどうかを事前に確認します。履歴書や大学の卒業証明書などを慎重に確認する必要があります。

外国人が就労ビザを取得するには、やはり学歴は重要となります。日本で働く外国人の約9割を占める就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」には学歴や職歴の要件があります。 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、大学卒業と同等以上の学歴か、10年以上の職歴が必要になります。

雇用契約書の交付

・入社後の労働条件について、採用する外国人と直接話し合いを行ったうえで雇用契約を結びます。労働条件通知書交付は労働基準法上、使用者に課せられた義務になります。後々の労使トラブル回避のためにも、書面による雇用契約を結びましょう。

雇用契約書に関しては、日本語で作成された雇用契約書と外国人の母国語、または英語などの標準的言語による翻訳文を作成し、両方を外国人本人に交付することが必要になります。

在留資格認定証明書交付申請

・雇用主となる企業の所在地を管轄する出入国在留管理局に対して、在留資格認定証明書の交付申請を行います。雇用主の事業規模や事業内容によって必要となる提出書類は異なります。

※提出書類の一例(一般的な企業の場合)

① 在留資格認定証明書交付申請書
② 履歴全部事項証明書
③ 雇用主企業の会社概要
④ 直近年度の損益計算書、貸借対照表等(適宜)
⑤ 採用予定者の職歴を証する文書(履歴書、職務経歴書等)や卒業証明書等
⑥ 雇用契約書
⑦ 申請理由書、招へい理由書等

受入準備

・就労ビザの取得が完了し、入社が最終的に決定したのちは、必要に応じて受入準備を進めます。とくに在外の外国人を採用(招聘)する場合は、外国人本人が母国、または海外の日本大使館等で行う査証申請に関する指導やサポート、来日時の各種手配が必要になってきます。

※その他、特にご質問が多い、住居・銀行口座・携帯電話等の契約についてはこちらをご参照願います。

入社後の手続き

・在外の外国人を採用(招聘)した場合、入社後に必要となる手続きとして代表的なものは以下の通りになります。

a)中長期在留者の受入れに関する届出
(➡地方出入国在留管理官署)
・外国人を雇用する企業は、中長期在留者の受入れを開始した日から14日以内に「中長期在留者の受入れに関する届出」を最寄りの地方出入国在留管理官署に提出する必要があります。
※ただし、外国人雇用状況の届出を公共職業安定所に届出済みの場合は不要になります。
b)外国人雇用状況の届出
(➡公共職業安定所)
・外国人を雇用する事業主には、外国人労働者の雇入れおよび離職の際にその氏名、在留資格などについて公共職業安定所へ届け出ることが義務づけられています。
1.雇用保険の被保険者となる外国人について届け出る場合:外国人を雇用した日の属する月の翌月10日までに届出
2.雇用保険の被保険者とならない外国人について届け出る場合:外国人を雇用した日の属する月の翌月末日までに届出
c)雇用保険被保険者資格取得届
(➡公共職業安定所)
・適用要件に該当する外国人労働者を雇用した事業主は、雇用した日の属する月の翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届を所轄公共職業安定所に提出する必要があります。
d)健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
(➡日本年金機構)
・適用要件に該当する外国人労働者を雇用した事業主は、加入義務の事実が発生してから5日以内に、当該従業員の健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を提出する必要があります。
e)居住地決定後の住民登録の指導
(➡住所地管轄の市区町村)
・採用する外国人従業員が来日し、居住地が決定したのち、その住所を管轄する市区町村において、外国人本人が住民登録を行う必要があります。住民登録を行うことで、外国人本人は在留カードを携帯することとなり、パスポートの常時携帯義務がなくなります。また、給与振込などに必要な口座開設を行う際にも住民登録は必須になります。

まとめ

・外国人の方を雇用するための就労ビザを取得できるかどうかは、外国人の方が従事するお仕事の内容、学歴や職歴に加え、雇用主側である御社の業務内容や売上実績等が審査の際の重要な要素となります。

当事務所では初回の面談につきましては無料でご相談をうかがっております。ご相談の際には、就労ビザの申請に関する詳細なフローや料金についてもしっかりと説明させていただき、お客様にご納得いただいた上で業務を受託しております。外国人雇用に関してご不明な点があれば是非当事務所にご相談ください。

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