
会社(営利法人)設立
・会社法概略、定款と電子定款、株式会社設立のながれについて以下簡略にまとめました。
目次
会社法のポイント
・2006年に会社制度の抜本的な見直しがなされ、会社法として、下表にまとめたように大きく変化しました。

会社法施行後の主な留意点
① 取締役の資格 | ・株式譲渡制限会社であれば、株主が取締役となることが可能になりました。また、破産者で、復権を得ない者は、会社法施行前は取締役になることができませんでしたが、会社法施行後は取締役となることが可能になりました。 |
② 取締役の任期 | ・株式譲渡制限会社は、定款の定めにより10年まで伸長が可能になりました。 |
③ 取締役の責任 | ・会社法では、「過失責任の原則」が採用され、原則として任務を行うにあたり、懈怠がなければ会社に対して責任を負わなくてもよいことになりました。 |
④ 取締役の解任について | ・会社法では、取締役を普通決議で解任できるようになりました。 |
営利法人の種類
・営利法人の代表的な種類は下表のとおりになります。


※最低資本金額について
・会社法施行前は、株式会社設立の場合最低資本金1,000万円以上、有限会社設立の場合、最低資本金300万円以上が必要でしたが、会社法施行により、どの形態の会社でも資本金1円(または0円)から設立できるようになりました。

※有限責任と無限責任について
・有限責任とは、出資金額までの責任負担を負うことをいい、出資会社が倒産した場合でも、有限責任社員は出資額の範囲までの責任しか負いません。一方、無限責任とは、会社が負う債務を会社の資金で弁済できない場合には、無限責任社員個人の財産にまでその責任が及びます。
定款について
・定款に記載しなくてはいけない事項は、会社法で定められています。定款に記載する項目は「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3つに分類することができます。
絶対的記載事項 | ・絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しておかなくてはいけない事項です。定款への記載を欠いた場合は、その定款自体が無効になってしまいますので、必ず定款の中に記載しなければなりません。 例)商号、事業の目的、本店の所在地、会社設立の際に出資される財産の価額、発起人氏名及び住所等 |
相対的記載事項 | ・相対的記載事項とは、その定めがない場合でも、定款自体の効力に影響を及ぼすものではないですが、定款にその定めがない場合はその効力が認められないものをいいます。 例)現物出資、株式の譲渡制限、取締役の任期等 |
任意的記載事項 | ・定款に記載しても法的効力は生じませんが、定款で明確にしておくことで会社の運営が効率的に行えるようになります。会社設立の際に定款に記載する任意的記載事項は概ね決まった事項になりますので、下記に記載した事項は、定款への記載を行うことが好ましいと言えます。また、任意的記載事項は公序良俗に反しない限り、自由な内容で記載できます。 例)営業年度、公告の方法、役員報酬の決め方、配当金の支払い時期、会社内の機関の定め、役職に関する定め等 |
定款作成のながれ
【STEP1】定款の記載事項を決定 | ・絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項について記載内容を決定します。 |
【STEP2】定款を作成 | ・任意的記載事項に関して、記載する項目が多すぎると羈束性ばかりが強くなってしまい、法人の事業活動が必要以上に拘束されるおそれがありますので注意が必要です。 |
【STEP3】公証役場にて定款認証を行う | ・公証役場に行く前に記載不備がないか最終確認を必ず行います。絶対的記載事項や相対的記載事項について、会社経営上必要な事項を記載しているか確認を事前に確認します。 |
定款認証の費用
・定款認証に必要な費用は以下のとおりです。
① 公証人手数料 | 50,000円 ※公証人手数料は公証人に定款を認証してもらうための手数料です。全国一律50,000円となります。 |
② 定款貼付用印紙代 | 40,000円 ※電子定款の場合は印紙代は必要ありません。 |
③ 定款の謄本手数料 | 1,000円~3,000円 ※定款原本の他に定款の謄本作成のための費用です。定款の枚数によって異なります(1ページあたり250円)。 |
電子定款について
・電子定款とは電子媒体(CD-R等)に、特定のソフトウェアを使用して電子署名を付したものです。法務省のオンライン申請システムを通じて作成します。紙定款で公証人の認証を受ける場合、印紙税法により40,000円の収入印紙代が必要になりますが、電子定款の場合は課税対象にならないため、収入印紙代は不要になります。

ただし、電子定款の作成には証明書、ソフトウェア、カードリーダーなどが必要になりますので、それら全て用意すると収入印紙代以上の出費が発生してしまいます。電子証明書を用いて電子定款を作成する場合に以下のものが必要になります。
① 電子認証キット | 15,400円 |
② Adobe Acrobat | 36,540円 (スタンダード) 57,540円 (プロフェッショナル) |
③ Accredited Sign | 18,000円 |
④ ICカードリーダ |
2,000円~3,000円 |

以上のとおり、ご自身で電子認証を利用する場合、各種ソフトウェア等が必要になり、またマイナンバーカードを発行されていない場合、さらに1か月以上お時間を要する場合もございます。行政書士等の専門家に依頼をすれば、ご自分で紙定款を作成して認証するのとほぼ同じ価格で、ミスのない正確な定款作成と認証をスピーディーに行えます。
電子定款作成のながれ
【STEP1】会社情報、定款記載事項を行政書士に郵送、またはメールもしくはFAXで送付 | ・絶対的記載事項等の会社概要を行政書士に送付します。会社概要を基に商号調査、事業目的を確認し定款の原案を作成します。 |
【STEP2】定款案の検討及び打ち合わせ | ・発起人全員の印鑑証明と委任状が必要になります。 |
【STEP3】事前の確認のため、公証役場へ定款案を送付 | ・公証役場によって事前確認の方法が異なりますので、認証依頼予定の公証役場へ問い合わせを行い、事前確認の依頼とその方法について相談します。 |
【STEP4】定款の原案に行政書士が電子署名を行い、公証人に正式に送付 | ・登記/供託オンラインシステムを使用します。 |
株式会社設立のながれ
・基本事項の決定から設立までのながれは以下のとおりになります。
【STEP1】株式会社の基本事項を決定 | ・商号、事業目的、本店所在地、事業年度、資本金、出資者、株式譲渡制限の有無、会社の機関設計等の基本事項を決定します。 |
【STEP2】定款を作成、公証役場で定款認証を受ける | ・管轄法務局にて商号の調査、事業目的の確認、代表者印の作成等を行い、公証役場で定款認証を受けます。 |
【STEP3】役員の決定 | ・取締役、監査役などの役員を決定し、就任承諾書、設立時代表取締役選定決議書を作成します。 ※設立時代表取締役選定決議書は、設立する会社が取締役会を設置する会社である場合に必要になります。 |
【STEP4】資本金を払込、株式会社設立登記の申請 | ・払込証明書、調査報告書、資本金の額の計上に関する証明書を作成します。 ※調査報告書は現物出資時のみ必要になります。 ・資本金の払込後に登記申請書、別紙(OCR用紙)、印鑑届出書を作成します。 |
【STEP5】株式会社設立後の各種届出 | ・登記簿謄本、印鑑証明を取得し、税務関係の届出を行います。それにともない、労働保険・社会保険関係の届出も行います。 |
※株式会社の設立に、専門家(司法書士、行政書士等)に依頼しない場合でも以下の費用は必ず必要になります。
定款の認証手数料 | 50,000円 |
印紙代 | 40,000円 ※電子定款認証手続きを行う場合は不要になります。 |
定款の謄本手数料 | 1,000円~2,000円 ※定款原本の他に定款の謄本作成のための費用です。定款の枚数によって異なります(1ページあたり250円)。 |
設立にかかる登録免許税 | 150,000円~ ※登録免許税については、資本金の0.7%の金額と比較し、その金額が150,000円を超えていればそちらの金額が必要となりますので、資本金額が約2,140万円を超えるような場合は上記の限りではありません。 |
新しく設立する会社の実印作成代 | 5,000円程度 |
設立時に必要な個人の印鑑証明取得費 | 約300円×必要枚数 |
新しい会社の登記簿謄本の発行費 | 約500円×必要枚数 |
合計 | 約250,000円~ |

会社設立の手続きを司法書士や行政書士等の専門家に依頼した場合、電子定款認証での設立になりますので、定款用の収入印紙代(40,000円)は不要となりますが、上記の合計額に加えて100,000円前後の代行手数料(報酬)が発生するため、初期費用(初期費用合計から印紙代を控除した金額)と合わせると300,000円前後の費用が必要になります。ただし、ご自身で会社設立のお手続きを行う場合の初期費用合計がおよそ250,000円前後になりますので、かかる費用の差は50,000円程度になります。

会社設立に際しては、経営者としてやらなくてはならない優先すべき事項が多数ございます。本業のビジネスをより早く軌道に乗せ、本業に専念いただくためにも、会社設立に関しては専門家にご依頼することをおすすめいたします。会社設立に関してご不明な点があればお気軽にご相談ください。

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